過活動膀胱・神経因性膀胱
排尿に関わる神経に障害があるために生じる排尿障害です。仙髄より大脳側の方を上位型(痙性神経因性膀胱)、下位型(弛緩性神経因性膀胱)に分けられます。一般的に上位型を過活動膀胱、下位型を神経因性膀胱と言われます。
過活動膀胱
過活動膀胱では尿が我慢できず過敏な状態(過活動膀胱)となります。
● 症状
症状としては、尿意切迫感が必須であり頻尿、切迫性尿失禁が混在することがあります。
● 治療
治療として行動療法、薬物療法があげられ行動療法では体重減少や膀胱訓練が有用です。薬物療法では、β3アドレナリン受容体作動薬、抗コリン薬が挙げられます。
神経因性膀胱
神経因性膀胱は膀胱が伸びきった状態になり、縮む事ができなくなった状態です。
● 症状
排尿困難や尿閉などがあげられます。
● 治療
治療としてα1ブロッカー、自己導尿、留置カテーテルなどが適応となります。
間質性膀胱炎
通常の膀胱炎では尿路感染が原因で抗生剤治療でよくなりますが、間質性膀胱炎の場合ははっきりとした原因はわかっていません。膀胱の内側を覆っている細胞が損傷し、その結果尿中の物質が膀胱を刺激しているのではないかと考えられてます。
症状
頻尿、尿意切迫か、膀胱の痛みなどの症状のある病気で特に尿がたまった時に痛みを生じるのが特徴です。
治療
● 膀胱水圧拡張術
間質性膀胱炎の診断と治療を兼ね備えた方法です。ただし治療効果は数か月しかなく定期的に水圧拡張術が必要になることがあります。
● 薬物療法
塩酸アミトリプチリン、抗ヒスタミン薬、漢方薬など内服があります。
● ジメチルスルホキシド(DMSO)膀胱内注入療法
膀胱内にカテーテルを用いてDMSOを注入します。膀胱の炎症を抑えたり、膀胱粘膜を修復したりすると考えらています。2021年4月より保険適応となり当院でも施行しています。2週間ごとに計6回、外来で行う処置になります。
尿道からカテーテルを挿入し、まずは痛みのコントロール目的に局所麻酔薬(4%キシロカイン液)を膀胱内に注入し15分間置きます。その後、再度カテーテルを挿入して膀胱内の局所麻酔薬を排出させ、ジムソを膀胱内に注入します。15分後に排尿して終了となります。
副作用は?
- 膀胱痛、尿道痛が約30%に起こります。治療回数が増えてくると軽減していきますが、予防で局所麻酔薬を使用していきます。
- 膀胱不快、頻尿が約10%で症状が悪化しますが、2〜3日で改善します。
- 呼気皮膚臭異常が5〜10%に起こります。膀胱注入後にニンニク臭を感じることがあります。
- 水晶体混濁は動物実験で認めましたが、過去に問題になったことはありません。
- 血中・乳汁移行が確認されるので妊娠中や授乳期には使用できません。